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のんびりフィジーでシステム開発(最終回)


タイトルどおり、のんびりお伝えしてまいりましたフィジーでのシステム開発、今回が最終回となります。 簡易版PMBOKを導入し、とりあえずプロジェクトの体をなすことができました。

そういえば、これまでシステムの話をぜんぜんしていませんでしたね。
学校のない島や田舎にインターネットを使って授業を提供したいとのことでしたが、要件定義の結果、以下のような機能で行けそうだということになりました。

1. 教材の入手やレポートの提出を家でできる
2. フォーラムやメッセージ機能を使って生徒と教師、
生徒どうしのコミュニケーションができる
3. マルチメディア教材(ビデオや音声やアプリケーションなど)を使える
4. 課題の提出状況や成績などを簡単に確認できる

これ、フルスクラッチで作ってもいいんですが、
Moodleという通信教育に最適なオープンソースがあるんですね。
世界中の大学などで使われていて、実績も情報も豊富です。

mashiko01

こいつのログイン周りやデザインなど、
ちょっとカスタマイズして導入することにしました。

LAMPの上に載せるだけでいいので私がやればあっという間ですが、
現地の技術者を育成するのも私の仕事のひとつです。

Linuxのインストールから指導することになりました。
無駄なデーモンは止めるんだよとか、
そこのポートは塞いでねとか、パッケージの依存関係だとか、
地道に基本的なことからですね。

特に負荷分散を考えるようなアクセスも想定しておらず、
バックアップも特定のフォルダを定期的にコピーして
保存するような簡単なシステム構成です。

まぁ、このブログを見ているハイスキルな方々には説明不要かと思います。

mashiko02

なんやかんだでプロジェクトが立ち上がり、
システム導入が終わり、
試験的な授業を開始するまでに1年ちょっとかかりました。

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授業は学生だけではなく社会人も受けられるのですが、
マウスの使い方が分からない人も多く、
課題をWORDで提供しろと言われても
「WORDって何?」みたいな状態なので、
MS-Officeの使い方やレポートを作成するための
情報収集なんてテーマで授業もすることになりました。

そもそも今回のプロジェクトの背景には、
デジタルデバイド(情報格差)の問題があります。

例えば、とある電気も通っていないようなアジアの農村の話です。
貧しい農家は水牛を一頭だけ持っています。それが彼らの全財産なんですね。

彼らは自分たちの水牛から絞ったミルクが都市部で
いくらで売られているのかまったく知りません。
100円で売れるものが2円とかで買い叩かれたりしています。

そんな農村に、インターネットにつながった端末が1台だけ導入される。
それだけではなく、「検索する」というスキルも教える。
そうすると仲介業者は、情報を得た農家たちをこれまでのように
いい加減に扱うことはできなくなります。

単価が上がった農家のモチベーションはあがり、
仲介業者は削られた利益の分だけ品質管理などで
付加価値を上げる努力をするようになる。
そして市場は活性化する。

まぁ実際はそんなに単純ではないと思いますが、
情報格差の是正にはこんな効果が期待できるわけです。

mashiko04

システム屋の知識や技術はいろいろな分野で使えます。
この仕事を終えてから今まで無縁だった国際機関で仕事をする
とか、いろいろ選択肢が増えました。

実際にびっくりするようなところから声がかかったりします。
皆さんもシステム屋人生を存分に楽しんでください。

以上、のんびりフィジーでシステム開発でした!

mashiko05

 

 

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