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「休む力」を身につけるために~アメリカで行われている「EAP」という施策を紹介~


IT業界で働くエンジニアにうつ病が多いことはよく知られています。なんとエンジニアの約2割が、医師からうつ病をはじめとする心の病であると診断されたことがあるそうです。その原因としては、この業界特有の「長時間労働」や「技術的難易度の高さ」そして「上司や同僚とのコミュニケーションや人間関係のむずかしさ」などが挙げられるでしょう。

心身の健康を保ち、高いパフォーマンスを維持し続けるためには、働く力と同じくらいに「休む力」を身につけることが重要です。今回は、働く人の心のケアの先進国アメリカで行われている「EAP」という施策を取り上げ、その内容と効果などを紹介します。

■「EAP」ってどんなもの?

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「EAP」とは、「Employee Assistance Program=従業員援助プログラム」の略で、アメリカでは多くの企業が取り入れています。EAPは、働く人の心をはじめ、健康面などさまざまな問題を解決することで、会社全体の生産性を高めることを目指すシステムです。

■なぜEAPがアメリカで広まったのか?

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EAPがアメリカで広まった背景として、ベトナム戦争後の国の混乱があります。当時は、帰還した兵士達の多くがPTSD(心の傷によるストレス障害)にかかり、麻薬依存やアルコール依存症、うつ状態の人などが爆発的に増加したのです。

EAPは当初、アルコール依存症の方を救うことを目的に取り入れられました。それが1970年代のこと。その後、レーガン大統領が医療改革の一環として、各企業はEAPをもっと積極的に取り入れるべきだという方針を打ち出します。そうした努力の甲斐あって、EAPは社会に普及していったのです。

■EAPを取り入れたことで、具体的にどんな成果が出たのか?

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ゼネラルモーターズの場合、北アメリカの社員4万4000人を対象にEAPを実施した結果、

(1)欠勤などによる労働時間のロス ⇒ 40パーセント
(2)病気と事故による医療給付金額 ⇒ 60パーセント
(3)社員からの苦情 ⇒ 50パーセント

もの削減に成功したそうです。この数値を見るだけでも、心身のケアを行う事は社員のためだけではなく、企業のためにもなっていることがわかります。

■おわりに

「いかに効率良く働くか」が議論されることは多いですが、「いかに効率よく休むか」が話題に上ることは、ほとんど無いように思います。ですが、人間が“イキモノ”である以上、100%、120%の力で仕事をし続けることはできません。

こうした施策を積極的に導入することで、全ての社員がイキイキと働き、休めるようになれば、IT業界はより良いものになっていくように思います。

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