Ansible の設計思想を理解する
- 2025年07月02日
- CATEGORY- 1. 技術力{技術情報}167
ウチの会社ではAnsibleというツールをめっちゃ使います。
自動化の分野で広く利用されているオープンソースツールですなんですが、システムの構成管理、アプリケーションのデプロイメント、タスクの自動化など、多岐にわたる用途で使われてます。
Ansibleを効果的に利用するためには、その設計思想を深く理解することが結構助けになるように思います。が、残念ながらその設計思想がゴリゴリの専門用語の塊でとっても理解しにくいです。なのでこの記事では、Ansibleの設計思想について詳しく解説し、その背後にある理念や特徴を説明してみたいと思います。
目次
シンプルさ
Ansibleの設計思想の中心にあるのは「シンプルさ」です。複雑な設定やエージェントのインストールが不要なため、導入が容易で学習曲線も緩やかです。Ansibleは、人間が読み書きしやすいYAML形式のplaybookを使用してタスクを定義します。これにより、開発者や運用者が直感的に理解しやすく、迅速に自動化スクリプトを作成できるように、という目的ですが、わかってしまえば「確かにシンプルかも」と思うのですが、割とこの初手でつまづくことは多いようです・・・。playbookを中心とした Ansibleの基本的設計思想を把握するとこの「シンプルさ」の意味をつかむまでの時間を短縮できるかもしれません。
エージェントレスアーキテクチャ
Ansibleは「エージェントレス」で動作します。要するに100台のサーバを管理したいっていう時に、管理対象となる100台のサーバには何もインストールする必要が無いよってことです。
正確に言えば、管理対象のノードに専用のエージェントソフトウェアをインストールする必要がないよよってことです。代わりに、SSH(Secure Shell)やWinRM(Windows Remote Management)を通じて通信を行います。この設計により、セキュリティリスクが低減され、管理が容易になります。「はあ?」ってなってると思うんですが、要するに「管理対象となる100台のサーバには何もインストールする必要が無くて楽でしょ?」です。
宣言的な構成管理
Ansibleは宣言的な構成管理を採用しています。これもまた専門用語なんですが、これは、「何を達成したいか」を定義し、具体的な手順を書くんじゃなくて、最終的な状態を指定する、っていう方法です。プレイブック内で必要な状態を宣言することで、Ansibleはその状態に到達するために必要なタスクを自動的に実行。このアプローチにより、構成管理が効率化され、一貫性のある環境構築が可能になります。これも実際に触って動かしてみないとピンと来ない部分かも知れません。ジャンジャン触りましょう。
冪等(べきとう)性
Ansibleのタスクは冪等性を持つように設計されています。「なんて読むのかそもそもわからん・・・」って感じもあると思うんですが、エンジニア同士の会話だと、「この処理って冪等なんですか?」とか普通に使う、エンジニアの中だけは共通言語だったりするので、覚えておいてください。
冪等性とは、同じタスクを何度実行しても結果が変わらない性質を指します。その結果何が得られるかを説明したほうが冪等を理解しやすいと思うんですが、プレイブックを複数回実行しても、システムの状態が想定した状態なんです。「何回実行大丈夫。同じ結果になる」っていう理解でいいと思います。
これにより実行結果が予測可能になり一貫性を保つことができます。Ansibleで言えば、「冪等性がある」っていうことは、実行中にエラーや中断が発生した場合でも、プレイブックを再実行するだけで正しい状態に戻すことができる、っていう事でもあります。100台のサーバ管理している中で、どうでしょう、冪等性のありがたさがじわじわと伝わってきませんか?
再利用性とモジュール化
Ansibleはいろいろな用途に向けたモジュールを提供してくれています。手作りするんじゃなくて、これらを組み合わせることで複雑なタスクもシンプルに実装できます。モジュールは特定の機能を実行するための単位、っていう感じなんですが、プレイブック内で部品として再利用可能なようになってます。また、カスタムモジュールを作成することもすごく簡単、特定のニーズに合わせてAnsibleの機能を拡張することも実務の中ではどんどんやっています。
コミュニティとオープンソース
Ansibleはオープンソースプロジェクトとして、コミュニティが活発です。これはすごく大事な事で、コミュニティメンバーが今も定期的に新しいモジュールや機能を追加し、ドキュメントの充実やバグ修正を行っています。また、商用サポートをRed Hatが提供している事も商用利用にあたっては安心です。オープンソースの利点として、ブラックボックスになっているところが無かったり(頑張れば中身は読める)、今どんな問題が起きてて、誰かが対応中なのか、それともこれは「仕様」なのか、追っかけることが可能といったことがあります。
まとめ
Ansibleの設計思想は、シンプルさ、エージェントレスアーキテクチャ、宣言的な構成管理、冪等性、再利用性とモジュール化、そして活発なコミュニティによって支えられています。これらの理念に基づく設計により、Ansibleは効率的で信頼性の高い自動化ツールとして、多くの開発者や運用者に支持されています。最初のとっつきにくさはこのゴリゴリの専門用語の塊ではないかと思います。
でも、Ansibleを効果的に活用するためには、その設計思想を理解し、適切なプレイブックの作成やモジュールの選択を行うことが大事です。シンプルでありながら強力な機能を持つAnsible。これからも、インフラストラクチャの管理、アプリケーションのデプロイメント、どんどん使って、開発プロセスの効率化を図っていきたいと思います。
参考資料
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