仕事をなくすということ
- 2025年01月22日
- CATEGORY- 2. エンジニア力{思考}
こんにちは!サヤマです。
最近読んだ本があります。
『開発現場の掟(プロの鉄則): エンジニアが現場で生き残るための極意』
2009年発売で、見たところAmazonでも楽天でも買えなさそうな古い本です。
なんか読もっかな〜と軽い気持ちで会社の本棚を眺めていたところ、
入社当時に一度読んだきりのこの本が目につきました。
内容はもう全く覚えてません。(ええそりゃもう全く)
けっこういい本だなと思ったので一部を紹介します。
筆者が、当初の見積外の要求をお客さんから受けることになります。
文字コードが起因のバグが見つかり、UTF-8で作っていたシステムをSHIT-JISにしてほしいというものです。
(ここでの要旨は文字コードの話ではないので、文字コードについては理解する必要はありません。)
かかる工数を計算し直すと、追加で167時間かかることがわかりました。
ああでもないこうでもない、と頭をひねりますが、人海戦術で乗り切るしかない!と筆者は腹をくくります。
が、ここで、筆者の同僚で、伝説のエンジニアと名高い東山さん(仮名)が登場します。
それまで沈黙していた東山さんが口を開きました。
「この件は私に預けていただけませんか?」そう言って、1人で客先に乗り込んでいきました。
東山さんがミーティングに出かけてからおよそ1時間で連絡がありました。
「CSVの出力項目を1箇所だけ変える必要がありますが、文字コードの修正は不要になりました」と。我々は、まるで魔法を見ているかのように拍子抜けしてしまいました。
167時間かかるはずだった作業工数が、ミーティングに費やした1時間ほどで済んでしまったのです。どれだけ効率的に作業したとしても、167時間を150時間に短縮できる程度のことでしょう。これほどの単時間で、問題を解決してしまうことにはつながらなかったと思います
こういうこと、優秀な人と仕事をしていると結構たまに良く遭遇します。
東山さんのやったことの、種明かしを見てみましょう。
「お答さんが本当に望んでいるのはシステムの標準文字コードをSHIFT-JISにすることなのか?なぜお客さんがこのように言いだしたのかをもっと詳しく訊いてみよう」
東山さんは、その疑問を解消するためにヒアリングをするところから始めました。詳しいバグの現象は「システムから出力したCSVファイルで文字化けしてしまう」というものだったそうです。
(中略)
続いて東山さんは、「CSVによる連携が必要な項目が今後、増えることはありますか?」と尋ねました。すると、「今出力されているCSVの項目だけ」とのことでした。
これまでの話をまとめると、次のようになります。
・SHIFT-JISにしたいという要望はCSVの出力文字化けが原因
・CSVは他システムへの連携に利用するためSHIFT-JISに変換が必要
・文字化けする文字は氏名の一部の漢字のみ
・システム内部をSHIFT-JISにすると正確な「氏名」の漢字を保持することができない
・氏名は正確な漢字をシステム内部で保持する必要がある(UTF-8の文字コードなら対応可能)
・今後、CSVに項目を追加することはない
ここまでもまとめたときに、顧客側から声が上がりました。「では、CSVに氏名を出力している部分は、カタカナで出してもらえば結構だ。連携先のシステムでは氏名ではなくユーザーIDを使っているから、そもそも氏名は重要な項目ではないのだ」と。
結局、システムの文字コードとしては、どこにも手を加える必要はなくなったのです。
というわけで、東山さんは見積上167時間だったお仕事を約1時間ですませました。
166時間分のお仕事は、消えてなくなってしまいました。
お客さんが、「本当は何をしたいのか」を引き出す。
そうすると、お客さんが勝手に、「じゃあこうしたらいいですね」と言ってくれたり、
ときにはこちら側から、「こうすると、よくなりますよ」といった提案をする。
わたしが見てきた優秀な人は、思い返すとそういったことをよくやっているように思います。
そういうことをすると、気づいた時には仕事がなくなっていた…なんてことがままあります。
(逆にたくさんお仕事をいただけたり。なんてことももちろんありますが)
どこかできいた言葉なのですが、
三流は仕事をこなす、二流は仕事を改善する、一流は仕事をなくす
という言葉があります。
(亜種がたくさんあるので、ググっても出どころはわかりませんでした)
サヤマは、、まだまだ三流です。しょんぼり。
すこしでも二流・一流に近づけるよう、これからも精進してまいります!
- 2025年01月22日
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