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リングワールド ティーラの幸運について

亀井です。

今日は、「リングワールド」について少し書いてみたいと思います。学生時代に読んだのですが、ハヤカワ文庫から出ているSFシリーズは文字が小さくていっぱい書いてあるので、「コスパが良い」ということで、私は学生時代によく読んでおりました。

『リングワールド』 (Ringworld) は1970年にラリー・ニーヴンが発表したノウンスペースを舞台とするSF小説。ヒューゴー賞・ネビュラ賞を受賞。SF小説の中でも有名なもののひとつである。続編として3つの長編小説が発表されており、また他の数々のノウンスペースシリーズの作品とも結びついている。

日本語訳版は小隅黎が翻訳し、早川書房より出版された(ISBN 4150106169)。

知る人ぞ知るというか、SF小説読む人なら誰でも知ってるし、読まない人は絶対知らない、というたぐいの作品です。

「映像化不可能!」と盛んに言わていた作品がのちに次々映像化されていくわけですが、意外にもこのリングワールドはまだ映像化されてないみたいですね。

リングワールドと名付けられたダイソン球に「似た」人工物への探検を描いたのが本作です。ハヤカワ書房から出版されている日本語翻訳版を学生の時に読んでいるのですが、当時の感覚としては「読みにくくて、長くて、他人には勧めにくいなあ」という感じでしたが、今読み返してみると文字は小さいものの、サラサラ読めるので長さを感じません。漢字だらけの歴史小説と比べるとよほど敷居が低いように思いました。

ダイソン球(スフィア)

「ダイソン球(スフィア)」という概念がありまして。現在の地球でも砂漠に太陽光パネルを大規模に設置したりしてそれなの電力を得ていたりしますが、太陽は全方位にエネルギーを放出していて、そのごくごく一部をキャッチするだけでも人間にとっては有用な電力を取り出せてしまうわけです。太陽って思ってるよりデカイわけですね。太陽系の全質量の99.8%が太陽です。

そんな膨大なエネルギーの発生源である太陽のエネルギーを有効活用するには地球みたいな形は不合理です。そのため、ダイソンという人が太陽の周りを囲う感じで大地を作って、生態系を作ればいいよね、みたいなことを言ったのがダイソン球です。以下がダイソン球のイメージです。

これは今の人類には到底不可能な超巨大建造物です。

デカくみえない問題

2850年、ある恒星をリング状に取り囲む巨大な謎の人工構造物「リングワールド」への探検隊が組織された。選ばれたのは2人の人類と2人の宇宙人である。テレポーテーションや絶対に壊れない宇宙船船殻などを実現した、非常に科学技術が進歩した世界を舞台としている。

サイズ感としては、幅が160万キロメートル、内側の面積は地球の表面の300万倍です。この巨大人工物に4名が探検に向かいます。本作の見事さはこの想像しにくいリングワールドの「巨大さ」を読者に伝える技術です。ダイソン球自体は「宇宙好き」には割とメジャーなのか、ゲームなどでダイソン球を作れるゲームって割とあったりするのですが、「巨大さ」が全然伝わってこないんですよね。

デカいものをデカいと感じさせるのって相当難しいみたいで、アニメ「トップをねらえ!」(庵野監督作品です。皆さんご存知ですよね??)では最終話をほぼ全編、モノクロとしているのですが、

最終話はほぼ全編がモノクロとなっているが、この理由は長径869km、短径415kmという巨大なサイズのバスターマシン3号が登場するなど、ストーリーの規模が大きすぎるためにカラー映像だとリアリティが出ないことから、モノクロにして質感を消すことでリアリティを担保するため。

といったことが理由だったそうです。当時意味わかってませんでしたが、なるほどね、です。

で、話は戻りますが、本作、「リングワールド」では色々な表現でこのリングワールドの巨大さを伝えてくれます。文字を使って、映像では表現できない巨大建造物を脳内に構築してくれるんですね。

ティーラ

ティーラ・ブラウン(Teela Brown)はラリー・ニーヴンの小説『リングワールド』の登場人物のひとり。ティーラはピアスンのパペッティア人であるネサスが探し出した、リングワールド探検隊の4人目のメンバーである。パペッティア人によれば彼女の唯一の能力は幸運である、ということだという(後述を参照)。彼女は6世代にわたる出産権抽籤の結果生まれた人間で、探検での「幸運のお守り」とでもいうべき立場にいる。

色々なアイデアが詰め込まれた「リングワールド」の中でも私が特に気に入ったアイデアがこれでした。リングワールドの探検にあたって、人類最高の探検家であるルイス・ウー、勇敢なスピーカーズ・トゥ・アニマルズ、お目付け役(?)としてパペッティア人のネサスが選ばれた。まあここまでは順当な選択なわけです。4人目のメンバーとして何の取り柄も無い20歳の女性、ティーラ・ブラウンが選ばれたのはなんで?ってなるんですが、彼女が「生きた幸運のお守り」であることが冒険が進む中で明らかにされます。

パペッティア人は「幸運の遺伝子を持つ人類」を作り出す計画を立てた。彼らは人類の最も優れた特徴は「幸運」であることだと結論付け、それを強化することに決めた。賄賂と恐喝で地球の政権を操ることによって、2650年前後に「出産権抽籤」の制度(管轄は国連の「出生管理局」)を作らせた。これは抽籤という選択と淘汰を繰り返すことでより幸運な人間をつくりだすというものであった。登場人物のひとり、ティーラ・ブラウンはこの計画の結果うまれてきた、自分の都合の良いように確率の法則を変えうる人間として描かれている。

パペッティア人は地球の政権を操り、「出産権抽せんくじ」制度を導入させ、数百年という年月をかけ人工的にティーラを生み出したのです。

このアイデアは非常に面白いアイデアですが、まあさすがに科学的には無理があり、のちに原作者ラリー・ニーヴンが「世界観を壊す」として後悔したそうですが、まあ、私としては面白ければ良かったので・・・。

ティーラの幸運

さて、このティーラが「幸運の遺伝子」を持つというパペッティア人のバカげたアイデアにルイス・ウーは懐疑的です。そもそもなぜ何人もいる「6世代にわたる出産権抽籤の結果生まれた人間」の中からティーラは選ばれたのでしょうか?それは単に他の候補者には連絡が付かなかったからです。バカンス中だったりといった、つまらない理由でパペッティア人はティーラ以外、どの候補者にも連絡を取ることが出来ませんでした。その結果選ばれたのがティーラだったのです。

さて、冒険が続く中、ルイス・ウーは、ティーラの幸運について思索を重ねます・・・。

ルイス・ウーの仮説その1

他の候補者は連絡が付かなかったのではない。「幸運の遺伝子」がリングワールドへの探検などという危険に候補者をさらすだろうか。「幸運の遺伝子」はパペッティア人が他の候補者にリングワールドに旅立つことを許さなかったのではないか。つまり、「幸運の遺伝子」は存在している。

ルイス・ウーの仮説その2

さらにルイス・ウーは考えます。その結果ティーラが「選ばれた」、という事はティーラは「幸運の遺伝子」を持たない出来損ない、という事になる。つまり、「幸運の遺伝子」は存在しているが、ティーラは「幸運の遺伝子」を持たない。

ルイス・ウーの仮説その3

ルイス・ウー一行は何とかリングワールドに到着します。奇跡的に。つまり、ティーラは「幸運の遺伝子」を持っている。

ルイス・ウーの仮説その4

「幸運の遺伝子」は「ティーラにはこの冒険の経験が必要」だと考えて、あえてティーラにこの危険な冒険に身をさらすことを選択した。ティーラはこの冒険を通して人間的に成長するだろう。つまり、ティーラは「ほかの誰よりも強い幸運の遺伝子」を持っている。

ルイス・ウーの仮説その5

ティーラの「幸運の遺伝子」はティーラの事しか考えていない。ティーラが良ければ他のメンバーがどうなろうと関係が無い。もっと言えば、ティーラの成長に必要と考えれば他のメンバーを殺しさえするかもしれない。ティーラの「幸運の遺伝子」は他のメンバーとっては危険なものかもしれない。

どうでしょう。なんせ長い小説ですのでこの他にも様々な事件が起き、読んでる身としてはティーラにはやはり何らかの「守護霊」みたいなものがついてるとしか思えません。冒険が進むに伴い進んでいくルイス・ウーの考察。彼の意見も二転三転します。

果たして「幸運の遺伝子」は存在するのでしょうか?「幸運の遺伝子」は彼らの冒険を成功に導いてくれるのでしょうか?

ちゃなことで、リングワールドを読んでティーラの幸運について一番印象残ってる人がどれくらいいるのかわかりませんが、紹介してみました。