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秀長に学ぶ(1)


亀井です。

菅元総理が愛読書として挙げていた
豊臣秀長 ある補佐役の生涯」。

菅元総理は38歳の時に出会ったそうなのですが、私も「偶然」愛読書です。

なんで「偶然」かと言いますと、
この本、初版が1985年と、私が10歳くらいの時に出た本なんですね。
詰め込み教育世代の私は活字に飢え、読めるものなら何でもという飢餓的状況の中、
なんでか父が買ってきたこの本を何十回も読むことになります。
割と長い期間愛読してまして、たまに読みたくなるという事で、
20代になっても何となく手元に置いていた本でした。

私も周りの人に随分勧めたのですが、そういういきさつでの愛読書ですので、
完全に「娯楽小説」として読んでいます。

「ビジネス書」だとか「堺屋太一の説教臭い」とか言われてたりするようなのですが、
そういう読み方をしてないのでその要素は全然わかりません(笑)

是非娯楽小説として楽しんで頂きたいと思います。

さて、この小説の中で取り上げられている豊臣秀長なのですが、たぶん、
この小説で堺屋太一氏が世に広めたといってもいいくらい無名の人だったようで、
歴史好きだけが知ってる、という地味~な人だったそうです。

今ではグーグルに「豊臣秀長」と入れると
「有能」とサジェストされるくらいの人になっていますね。

補佐役、それは参謀ではない。専門家でもない。もちろん、一部局の長、つまり中間管理職でもない。そしてまた、次のナンバー1でもない。

この人の役割は、驚くべきプランを提唱することでもなければ、一部局を率いることでもなく、兄・秀吉と同体化することだった。

きわめて脆弱な組織の中で終始よき補佐役を勤め抜いたこの人、豊臣秀長は、日本史上稀に見る存在であり、現代において最も望まれる人材だったような気がする。

「補佐役」として、まったく不自然なくらいに自分の存在感を消したのがこの方でした。
我々が思ってる以上に歴史上の人物っていうのは記録が少なく、
実際には数冊の本や日記だけが頼りだったりして、
この人も発掘されることなく歴史の中に眠っていたわけです。

兄の秀吉がそもそも出自も定かではなく、
おそらくはただの貧農(割と富裕な農民との説も)の出身であろうとされてますが、
この人の出自も定かではなく、
堺屋太一さんも「おそらく父親は一緒」と小説の中で書いちゃうくらいの人ですが、
戦国時代の英傑の一人でした。

いくつか面白いエピソードをご紹介します。

利休にたずねよ

映画化されてこのセリフだけ有名になってますが、
これ、もともと、秀吉のセリフです。

薩摩の猛将島津氏の圧力に耐えかねた大友宗麟が秀吉に助けを乞うのですが、
その時に、秀吉は宗麟にこう言います。

「内々の儀は宗易(利休)、公儀のことは宰相(秀長)存じ候」

宗麟に対して、秀吉はこのように言葉をかけて安心させるわけです。

この頃の島津家っていうのはもうくそヤバイ人たちで、
10倍くらいの兵力差なんて平気でひっくり返してくるんです。
関ヶ原の戦いでは西軍に属して敗戦側になっちゃうんですが、
東軍のど真ん中を突破して撤退するっていう、
関わりたくない人たちです。

この言葉に宗麟は感激、自分の国の家臣、家族にあてた手紙に
「利休と秀長に相談しろって秀吉に言われたぞ!」と大喜びで書いているようです。
よっぽど安心感を与えたんでしょうね。

相手を喜ばせる言葉を巧みに使う秀吉が言ったのがこれですから、
当時の武将たちの中で秀長がどのように評価されてたかよくわかります。

まあ利休もすごいっすけどね。

このセリフ、宗麟の手を取って秀長が言ったという説の方が一般的みたいで、
この小説の中でもそのように記載されていたように記憶していますが、
秀吉が言ったとwikipediaには書いてありますね。
私としては秀吉が言ってた説の方がしっくりきます。

「宗麟の手を取って秀長が言った」なんて、
のちに軍門に下るとは言え、この時期の宗麟は立派な大名です。
いかに豊臣家が権勢だったとは言え、
秀吉の臣下に過ぎない秀長がそんなことをするかなあ?

秀吉ならいかにもこんな芝居がかったことをしそうですけどね。

真実は宗麟が送った手紙も含めて文脈が書いてあるであろう
「大友文書」にありそうに思うのですが、
研究者の方が秀長が言ったとおっしゃってたりもするので、よくわかりません。

いずれにせよ、「補佐役」であり、
歴史のふるいからもこぼれそうになっていた秀長。
当時の戦国武将たちからとんでもない評価をされていたことがわかります。
一体なぜ・・・。

豊臣秀長 ある補佐役の生涯」は歴史ミステリーなのですね(笑)

という事で、続きはその2にて。

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